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いなおと特許事務所ブログ

いな音(イナオト)特許事務所が知的財産に関する情報を紹介。

備考類似(類似群コードが異なるのに互いに類似となる場合)について

2013/05/22

前回(2013/05/21)は、類似商品・役務審査基準の見方を説明しました。

ポイントは、
類似商品・役務審査基準では、類似商品・類似役務が同じ四角形枠(短冊)に入れられて、同じ類似群コードが付けられている。[類似群コードが同じ商品・役務は互いに類似]

② 各短冊の右下に、類似の商品・役務(同じ類似群コードの商品・役務)がある他の区分(他の分類)が表示されている。

③ 他区分(他分類)にある類似商品・類似役務は、他類間類似商品・役務一覧表でまとめてみることができる。

④ ただし、『備考類似』といって、類似群コードの異なる商品・役務が互いに類似とされることがある。

ということでした。

今回は、上記④の『備考類似』について簡単に説明します。

 『備考類似』 とは、類似群コードのみではカバーし切れない個別の類似関係を『(備考)』として記載したもので、互いに類似群コードが違うのに類似の商品・役務とされるものです。

例えば、類似商品・役務審査基準 の 第30類 を見ます。
   区分   商品             類似群
   第30類  茶              29A01
   第30類  コーヒー ココア      29B01
とあり、『茶』 と『コーヒー ココア』は類似群コードが違います。したがって、これらは本来『互いに非類似』として取り扱われるはずです。

しかし、各短冊の下方を見ると、
29A01には、『 (備考) 「ウーロン茶」「紅茶」 は、「コーヒー」「ココア」に類似と推定する』とあり、29B01には、『 (備考) 「コーヒー」「ココア」 は、「ウーロン茶」「紅茶」に類似と推定する』とあります。

すなわち、
「ウーロン茶」 「紅茶」 と、「コーヒー」「ココア」は、類似群コードが違うのに、互いに類似の商品として取り扱われることがあり、これを備考類似といいます。

ただし、特許庁の審査で商品・役務の類否について、備考類似の記載に基づく判断が必ずなされるわけではなく、「情報の提供」(商標法施行規則19条)があった場合や、商標登録後に「登録異議の申立」(商標法43条の2)や「商標登録の無効の審判」(同46条)があった場合に判断する運用がなされています(もちろん、備考類似を気にしなくても良いというわけではありません。)。

備考類似は、上述した例以外にもあって、備考類似商品・役務一覧表 にまとめられています。

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いな音特許事務所では、特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産に関する幅広いサービスを提供しています。
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  1. 2013/05/22(水) 13:29:14|
  2. 指定商品・指定役務
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類似商品・役務審査基準の見方(使い方)

2013/05/21

前回(2013/05/20)のポイントは、

① 商品・サービスの類似・非類似(類否)は、分類(区分)で決めるものではない。

② 特許庁の審査では 類似商品・役務審査基準で商品・サービスの類否を判断する。

類似商品・役務審査基準では、各商品・役務に5桁の類似群コードを付けている。

④ 類似群コードが同じ商品・サービス  → 互いに類似(と推定される)
  類似群コードが異なる商品・サービス → 互いに非類似(と推定される)

ということでした。

今回は、類似商品・役務審査基準の見方(使い方)を簡単に説明します。

1.類似の商品・役務(サービス)は、一つの細長い四角形枠(『短冊』と呼ばれます)に入れられており、その枠内の右端に5ケタの類似群コードが付けられます。

 例えば、類似商品・役務審査基準 の 第28類 をみると、『おもちゃ 人形』が同じ短冊に入れられており、『おもちゃ』と『人形』が類似であると分かります。この『おもちゃ 人形』の短冊の右端に付けられている『24A01』が類似群コードです。
(なお、ページ最上部の『第28類』という見出しの右下にある大きな四角形枠は第28類の商品全部を囲んだもので短冊ではありません。)

2.短冊の右下には、類似の商品・役務(同じ類似群コードの商品・役務)がある『他の区分』が表示されています。

 例えば、上記『おもちゃ 人形』の短冊の右下に、『 [第9類 第20類] 』とありますが、これは第28類以外の 第9類 と 第20類 にも類似商品があることを示しています。

 第9類 をみると、同じ類似群コード『24A01』が付けられた短冊があり、『家庭用テレビゲーム機用プログラム 携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM』が入れられています。
 また、第20類 をみると、こちらにも同じ『24A01』を付けた短冊があって『揺りかご 幼児用歩行器』が入れられています。

 すなわち、下記商品が『互いに類似である』とされていることが分かります。

  区分   商品                         類似群
 
  第9類   家庭用テレビゲーム機用プログラム,     24A01
         携帯用液晶画面ゲーム機用のプログ
         ラムを記憶させた電子回路及びCD
         -ROM

  第20類  揺りかご 幼児用歩行器           24A01

  第28類  おもちゃ 人形                 24A01

 一般的な感覚からすれば『揺りかご』と『家庭用テレビゲーム機用プログラム』が互いに類似と言われても、ピンと来ないかもしれませんが、特許庁の審査では、一般にそのように判断しているということです。(※拒絶査定不服審判では、生産部門・需要者・用途の違いを理由に『互いに類似でない』と判断が覆された事例があります。/不服2004-18305)

3.分類(区分)を超えて「類似商品・類似役務」を一度に見られるようにしたものとして、他類間類似商品・役務一覧表 があります。

4.上記1,2では、同じ類似群コードが付けられた商品・サービスは、互いに類似であると紹介しましたが、類似商品・役務審査基準の中には、『備考類似』といって、類似群コードが異なっていても類似とされる場合があります。
 
 次回は、備考類似について説明させて頂きます。

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  1. 2013/05/21(火) 16:15:06|
  2. 指定商品・指定役務
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商品・サービスの類似・非類似

2013/05/20

前回(2012/10/16)から7カ月ぶりの更新です。

前回のポイントは、

① 商標登録を受けるときは、ブランド(商標)と、ブランドを使用する商品・サービス(指定商品・指定役務)をあわせて申請するルールがある。

② 一旦、商標登録を受けてしまえば、他人が、同一・類似のブランドを、同一・類似の商品やサービスについて申請しても拒絶されるが、非類似の商品やサービスについて申請した場合には登録される。

③ そのため、申請する商品・サービスに洩れがあると、その洩れた商品について、後から申請した他人に同ブランドを登録されてしまい、逆に自分が使えなくなることがある。

④ 商品・サービスの取扱いについてよくご存じでない素人の方は、申請する商品やサービスをどうするか、自分で考えるよりも、プロである弁理士によく相談して頂きたい。

ということでした。


今回は、上記②にある「商品・サービス(役務)の類似・非類似」について述べます。

出願時に指定する商品・サービスをグループ化したものとしては分類があり、第1類から第45類まで45区分に分かれています。素人の方は、区分が同じか、違うかによって、商品・サービスの類似、非類似が決まると誤解するかもしれません。でも、同じ区分の商品・サービスでも互いに非類似になったり、逆に異なる区分の商品・サービスでも相互に類似になったりすることがあります。

では、「類似・非類似」(類否)はどうやって区別するのでしょうか?

商品・サービスの類否は、商品の生産・販売部門が同じかどうか、需要者が同じかどうか、提供する事業者が同じかどうか、などで判断されます。しかし、審査官がいちいち類否を検討すると大変で、審査結果にもばらつきが出るので、特許庁では、審査官の統一的な判断基準として『類似商品・役務審査基準』を作成しています。この審査基準では、予め互いに類似と考えられる商品・サービスを「類似群」というグループごとにまとめています。

各類似群には「類似群コード」という5ケタのコードが付けられており、類似群コードが同じ商品・サービスは相互に類似類似群コードが異なる商品・サービスは相互に非類似と推定されます(一部例外あり)。
※『推定』とは、類似としたものでも事情により非類似となる(その逆もある)という意味合いです。

類似商品・役務審査基準において、例えば第29類の「冷凍果実」と第31類の「果実」を探すと、いずれにも「32E01」という同じ類似群コードが付けられており、「冷凍果実」と「果実」が相互に類似であることが分かります。また、第29類の「加工野菜及び加工果実」を見ると、この類似群コードは「32F04」で、先ほどの「32E01」とは異なる類似群コードが付けられていますので、「加工野菜及び加工果実」は、「冷凍果実」や「果実」とは相互に非類似であることが分かります。

                    区分   類似群コード
「冷凍果実」             第29類   32E01
「果実」               第31類   32E01
「加工野菜及び加工果実」    第29類   32F04   

上記のとおりですから、「冷凍果実」を指定商品として商標登録した場合、後から、他人が同商標を同じ類似群コードの「果実」で申請しても拒絶されますが、異なる類似群コードの「加工野菜及び加工果実」で申請すれば拒絶されずに商標登録されることになります。

逆に言えば、今は使用しなくても、将来使用する可能性があるなど、他人に「加工野菜及び加工果実」で商標登録されたくなければ、出願時にこれらも書いておく必要があるということです。

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  1. 2013/05/20(月) 18:11:40|
  2. 指定商品・指定役務
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商標登録の指定商品・指定役務の決め方について②

2012/10/16

前回(2012/09/24)、
『商標登録申請において指定商品や指定役務をどうするか はとても重要』
として、その設定を誤った場合の問題点について述べました。

そうしたら、読んでくださった知り合いの方から、『指定商品・役務に関し、もう少し基本的な部分を説明すべきでは?』とのご指摘を頂きました。確かにおっしゃる通りです。ということで、今回は、もう少し基本的なところを・・

商標登録を受けるときは、登録する『ブランド(商標)』と、
そのブランドを使う『商品・サービス(指定商品・指定役務)』をあわせて申請します。例えば『@Surprise』 を飲食店名として商標登録したいときは、ブランド 『@Surprise』 と、飲食店に対応する指定役務 『飲食物の提供 (43類) 』 をあわせて申請します。これが商標登録されると、他人が後から、同一の 『@Surprise』 や、類似の 『@サプライズ』 を、指定役務 『飲食物の提供』 について申請しても特許庁に拒絶されます。また、他人が上記のような同一・類似のブランドを飲食店名として無断使用すると商標権侵害になります。

では、他人が同一・類似ブランドを『飲食店名』ではなく、『弁当』のブランドとして申請したり使用したら、どうなるでしょうか?

実は、その他人の『弁当』についての申請は商標登録が認められますし、『弁当』へのブランド使用も原則、商標権侵害にはなりません。『店で食べるものを弁当として売れば侵害にならないの!?』と驚くかも知れませんが、特許庁の審査では、『飲食物の提供』と『弁当』は、非類似とされているため、ブランドが同一類似でも、商標権全体としては互いに非類似であるとされ、実際に権利が多数成立しています。一般に侵害関係が争われることもありません。

逆に『飲食物の提供』のみで商標登録していた人が、『弁当』で同一ブランドを他人に登録されて、思わぬピンチにおちいることがあります。例えば、ブランドを『飲食物の提供』で商標登録して、飲食店を営業していたところ、繁盛してきたので、同じブランドで弁当販売も始めるという話はよくあるようですが、そこで、『弁当』や『弁当の小売りサービス』で同じブランドを商標登録した他人に訴えられることが考えられます。そうなれば、弁当販売はできません。『知っていれば、弁当でも商標登録したのに・・・』 などと悔やんでも後の祭りです。

素人の方が自分たちで指定商品・役務を決めて商標登録することもできますが、その商品・サービスでどの範囲が保護されるのか、よく分かっていないために、上述のような失敗をしているケースは少なくないようです。

このような失敗をしないためには、『プロである弁理士に相談・依頼する』 ことをお勧めします。弁理士なら、案件に応じて商品・サービスをどう設定すべきか、よく知っているので、『商品・サービスの内容』、『ブランドの表示方法・場面』、『今後のビジネス展開』などを聞き出したうえで、どのように申請するのが良いか、設計・提案してくれます。

いな音(イナオト)特許事務所でも、お客様の立場で「強くて頼りになる権利づくり」ができるようにトコトンお話しを伺い、徹底的に検討させて頂きます。素人のお客様に指定商品・指定役務を決めさせて、それを鵜呑みにするような仕事はしていませんので、ご安心ください。

次回は『商品・役務の類似・非類似』について説明いたします。

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  1. 2012/10/16(火) 15:11:43|
  2. 商標登録
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商標登録の指定商品・指定役務の決め方について①

2012/09/24

商標登録出願(申請)において、
指定商品や指定役務をどうするか
はとても重要です。

ここで間違うと、
せっかくお金や時間をかけて商標登録してもまったく意味がありません。
言い換えれば「商標登録しなかった」のと同じ状態です。

例えば、ある会社(A社)が、仮に「メチャラク介護」というブランドで
家庭向けに「介護ベッド」のレンタルビジネスを始める場合を考えてみます。

新規ビジネスの開始に際しては、まずブランドの商標登録が必要です。

A社の担当者は、
1.介護用ベッドのレンタルビジネスであること
2.介護用ベッドでは色々な附属品を使用すること
を考慮し、「介護用ベッド及びその附属品の貸与」という指定役務で
申請したとします。

さて、ベッドに付き物の「マットレス」のレンタルは商標登録しなくても
大丈夫でしょうか?

「マットレスって、そもそもベッドの附属品みたいなものでしょ。だから、
A社の担当者が申請した指定役務にマットレスは含まれているはずで、
特に問題はないでしょう?」
と言う声が聞こえてきそうです。そう言われると、確かにそんな気もします。

でも、実は、これ間違いなんです。

「ベッド及びその附属品の貸与」と「マットレスの貸与」は何れも第43類ですが、
特許庁の審査では、別のサービスとして扱われています。

ですから、A社が、商標「メチャラク介護」を「ベッド及びその附属品の貸与」について商標登録しても、「マットレスの貸与」については何ら保護されません。

それどころか、他の会社(B社)が、A社より後に
非常によく似た商標「めちゃラク介護」を「マットレスの貸与」で申請していた場合、
審査官は、A社の指定役務(ベッド及びその附属品の貸与)とはぶつからないと判断し、
B社の商標登録を認めます。

そうなると、A社は大変です。
「メチャラク介護」のブランドを「マットレスのレンタル」については
もう使えません。B社の商標権を侵害することになるからです。

「まあ、それでもベッドのレンタルについては使えるじゃない」
とおっしゃる方がおられるかも知れませんが、
セットでレンタルするものに別々のブランドを使うなんて、できませんから、
A社は結局イチからブランドをつくり直さなければなりません。

営業活動に心血を注いで、
ブランドがお客様の間に浸透し、
ビジネスが軌道に乗りかけた矢先に、
その肝心のブランドが使えなくなったら・・・


こんなに悲しいことはありません。

これを防止するためには、どうするべきか?
答えはかんたん。「プロである弁理士に相談する」ことです。

但し、相談の仕方にはコツがあります。

よくある「まずい」パターンは、
素人である依頼者が、申請する商品・サービスを自分で決めて、
「登録できるか調べてください」と、弁理士に商標調査を依頼して、
結果OKなら「では、申請してください。」というものですが、

商品・サービスを決める依頼者の最初の設計作業に間違いがあれば、
たとえ商標登録がうまくできたとしても意味がありません。

とにかく最初の設計段階が肝心です。
弁理士への相談にあたって、まず以下のことをキッチリやりましょう。
1.自社の商品・サービスについてよく説明すること、
2.想定するブランドの表示方法や場面を伝えること、
3.現在又は将来のブランド展開について理解してもらうこと、

これらを話したうえで、どんな商品・役務(サービス)について
申請したら良いか、弁理士に設計、提案してもらうことです。
素人では気付かないような点までが検討され、良いアイデアを出して
もらえると思います。

いな音(イナオト)特許事務所でも、単に合格するかどうかだけでなく、
商標登録しておいて良かった!助かった!と喜んで頂けますよう、
「いざというときに、真に役に立つ」商標登録ができるように努めています。

明日以降も、指定商品・指定役務に関する話題を提供したいと存じます。

もしご参考にして頂ければ幸いです。

それではまた・・。

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  1. 2012/09/24(月) 20:07:47|
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