前回(2012/09/24)、
『商標登録申請において指定商品や指定役務をどうするか はとても重要』
として、その設定を誤った場合の問題点について述べました。
そうしたら、読んでくださった知り合いの方から、『指定商品・役務に関し、もう少し基本的な部分を説明すべきでは?』とのご指摘を頂きました。確かにおっしゃる通りです。ということで、今回は、もう少し基本的なところを・・
商標登録を受けるときは、登録する『ブランド(商標)』と、
そのブランドを使う『商品・サービス(指定商品・指定役務)』をあわせて申請します。例えば『@Surprise』 を飲食店名として商標登録したいときは、ブランド 『@Surprise』 と、飲食店に対応する指定役務 『飲食物の提供 (43類) 』 をあわせて申請します。これが商標登録されると、他人が後から、同一の 『@Surprise』 や、類似の 『@サプライズ』 を、指定役務 『飲食物の提供』 について申請しても特許庁に拒絶されます。また、他人が上記のような同一・類似のブランドを飲食店名として無断使用すると商標権侵害になります。
では、他人が同一・類似ブランドを『飲食店名』ではなく、『弁当』のブランドとして申請したり使用したら、どうなるでしょうか?
実は、その他人の『弁当』についての申請は商標登録が認められますし、『弁当』へのブランド使用も原則、商標権侵害にはなりません。『店で食べるものを弁当として売れば侵害にならないの!?』と驚くかも知れませんが、特許庁の審査では、『飲食物の提供』と『弁当』は、非類似とされているため、ブランドが同一類似でも、商標権全体としては互いに非類似であるとされ、実際に権利が多数成立しています。一般に侵害関係が争われることもありません。
逆に『飲食物の提供』のみで商標登録していた人が、『弁当』で同一ブランドを他人に登録されて、思わぬピンチにおちいることがあります。例えば、ブランドを『飲食物の提供』で商標登録して、飲食店を営業していたところ、繁盛してきたので、同じブランドで弁当販売も始めるという話はよくあるようですが、そこで、『弁当』や『弁当の小売りサービス』で同じブランドを商標登録した他人に訴えられることが考えられます。そうなれば、弁当販売はできません。『知っていれば、弁当でも商標登録したのに・・・』 などと悔やんでも後の祭りです。
素人の方が自分たちで指定商品・役務を決めて商標登録することもできますが、その商品・サービスでどの範囲が保護されるのか、よく分かっていないために、上述のような失敗をしているケースは少なくないようです。
このような失敗をしないためには、『プロである弁理士に相談・依頼する』 ことをお勧めします。弁理士なら、案件に応じて商品・サービスをどう設定すべきか、よく知っているので、『商品・サービスの内容』、『ブランドの表示方法・場面』、『今後のビジネス展開』などを聞き出したうえで、どのように申請するのが良いか、設計・提案してくれます。
いな音(イナオト)特許事務所でも、お客様の立場で「強くて頼りになる権利づくり」ができるようにトコトンお話しを伺い、徹底的に検討させて頂きます。素人のお客様に指定商品・指定役務を決めさせて、それを鵜呑みにするような仕事はしていませんので、ご安心ください。
次回は『商品・役務の類似・非類似』について説明いたします。
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いな音特許事務所では、特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産に関する幅広いサービスを提供しています。
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