前回(2012/10/16)から7カ月ぶりの更新です。
前回のポイントは、
① 商標登録を受けるときは、ブランド(商標)と、ブランドを使用する商品・サービス(指定商品・指定役務)をあわせて申請するルールがある。
② 一旦、商標登録を受けてしまえば、他人が、同一・類似のブランドを、同一・類似の商品やサービスについて申請しても拒絶されるが、非類似の商品やサービスについて申請した場合には登録される。
③ そのため、申請する商品・サービスに洩れがあると、その洩れた商品について、後から申請した他人に同ブランドを登録されてしまい、逆に自分が使えなくなることがある。
④ 商品・サービスの取扱いについてよくご存じでない素人の方は、申請する商品やサービスをどうするか、自分で考えるよりも、プロである弁理士によく相談して頂きたい。
ということでした。
今回は、上記②にある「商品・サービス(役務)の類似・非類似」について述べます。
出願時に指定する商品・サービスをグループ化したものとしては分類があり、第1類から第45類まで45区分に分かれています。素人の方は、区分が同じか、違うかによって、商品・サービスの類似、非類似が決まると誤解するかもしれません。でも、同じ区分の商品・サービスでも互いに非類似になったり、逆に異なる区分の商品・サービスでも相互に類似になったりすることがあります。
では、「類似・非類似」(類否)はどうやって区別するのでしょうか?
商品・サービスの類否は、商品の生産・販売部門が同じかどうか、需要者が同じかどうか、提供する事業者が同じかどうか、などで判断されます。しかし、審査官がいちいち類否を検討すると大変で、審査結果にもばらつきが出るので、特許庁では、審査官の統一的な判断基準として『類似商品・役務審査基準』を作成しています。この審査基準では、予め互いに類似と考えられる商品・サービスを「類似群」というグループごとにまとめています。
各類似群には「類似群コード」という5ケタのコードが付けられており、類似群コードが同じ商品・サービスは相互に類似、類似群コードが異なる商品・サービスは相互に非類似と推定されます(一部例外あり)。
※『推定』とは、類似としたものでも事情により非類似となる(その逆もある)という意味合いです。
類似商品・役務審査基準において、例えば第29類の「冷凍果実」と第31類の「果実」を探すと、いずれにも「32E01」という同じ類似群コードが付けられており、「冷凍果実」と「果実」が相互に類似であることが分かります。また、第29類の「加工野菜及び加工果実」を見ると、この類似群コードは「32F04」で、先ほどの「32E01」とは異なる類似群コードが付けられていますので、「加工野菜及び加工果実」は、「冷凍果実」や「果実」とは相互に非類似であることが分かります。
区分 類似群コード
「冷凍果実」 第29類 32E01
「果実」 第31類 32E01
「加工野菜及び加工果実」 第29類 32F04
上記のとおりですから、「冷凍果実」を指定商品として商標登録した場合、後から、他人が同商標を同じ類似群コードの「果実」で申請しても拒絶されますが、異なる類似群コードの「加工野菜及び加工果実」で申請すれば拒絶されずに商標登録されることになります。
逆に言えば、今は使用しなくても、将来使用する可能性があるなど、他人に「加工野菜及び加工果実」で商標登録されたくなければ、出願時にこれらも書いておく必要があるということです。
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