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類似商品・役務審査基準の見方(使い方)

2013/05/21

前回(2013/05/20)のポイントは、

① 商品・サービスの類似・非類似(類否)は、分類(区分)で決めるものではない。

② 特許庁の審査では 類似商品・役務審査基準で商品・サービスの類否を判断する。

類似商品・役務審査基準では、各商品・役務に5桁の類似群コードを付けている。

④ 類似群コードが同じ商品・サービス  → 互いに類似(と推定される)
  類似群コードが異なる商品・サービス → 互いに非類似(と推定される)

ということでした。

今回は、類似商品・役務審査基準の見方(使い方)を簡単に説明します。

1.類似の商品・役務(サービス)は、一つの細長い四角形枠(『短冊』と呼ばれます)に入れられており、その枠内の右端に5ケタの類似群コードが付けられます。

 例えば、類似商品・役務審査基準 の 第28類 をみると、『おもちゃ 人形』が同じ短冊に入れられており、『おもちゃ』と『人形』が類似であると分かります。この『おもちゃ 人形』の短冊の右端に付けられている『24A01』が類似群コードです。
(なお、ページ最上部の『第28類』という見出しの右下にある大きな四角形枠は第28類の商品全部を囲んだもので短冊ではありません。)

2.短冊の右下には、類似の商品・役務(同じ類似群コードの商品・役務)がある『他の区分』が表示されています。

 例えば、上記『おもちゃ 人形』の短冊の右下に、『 [第9類 第20類] 』とありますが、これは第28類以外の 第9類 と 第20類 にも類似商品があることを示しています。

 第9類 をみると、同じ類似群コード『24A01』が付けられた短冊があり、『家庭用テレビゲーム機用プログラム 携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM』が入れられています。
 また、第20類 をみると、こちらにも同じ『24A01』を付けた短冊があって『揺りかご 幼児用歩行器』が入れられています。

 すなわち、下記商品が『互いに類似である』とされていることが分かります。

  区分   商品                         類似群
 
  第9類   家庭用テレビゲーム機用プログラム,     24A01
         携帯用液晶画面ゲーム機用のプログ
         ラムを記憶させた電子回路及びCD
         -ROM

  第20類  揺りかご 幼児用歩行器           24A01

  第28類  おもちゃ 人形                 24A01

 一般的な感覚からすれば『揺りかご』と『家庭用テレビゲーム機用プログラム』が互いに類似と言われても、ピンと来ないかもしれませんが、特許庁の審査では、一般にそのように判断しているということです。(※拒絶査定不服審判では、生産部門・需要者・用途の違いを理由に『互いに類似でない』と判断が覆された事例があります。/不服2004-18305)

3.分類(区分)を超えて「類似商品・類似役務」を一度に見られるようにしたものとして、他類間類似商品・役務一覧表 があります。

4.上記1,2では、同じ類似群コードが付けられた商品・サービスは、互いに類似であると紹介しましたが、類似商品・役務審査基準の中には、『備考類似』といって、類似群コードが異なっていても類似とされる場合があります。
 
 次回は、備考類似について説明させて頂きます。

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いな音特許事務所では、特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産に関する幅広いサービスを提供しています。
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  1. 2013/05/21(火) 16:15:06|
  2. 指定商品・指定役務
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

コメント

こんにちは。
商標の類似・非類似についての考え方がよく分かりました。

ところで、現在出願を考えている商標があり、「サービス」関係なのですが、類似商標審査基準にのっていません。このような場合はどうしたらいいのでしょうか?

ちなみに、そのサービスはレストラン等のメニュー開発です。
もしよろしければ教えて下さい。
  1. 2013/05/22(水) 17:41:22 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Re: 類似商品・役務審査基準に無いサービスについて

> こんにちは。
> 商標の類似・非類似についての考え方がよく分かりました。

有難うございます。お役に立てて良かったです。

> ところで、現在出願を考えている商標があり、「サービス」関係なのですが、類似商標審査基準にのっていません。このような場合はどうしたらいいのでしょうか?
>
> ちなみに、そのサービスはレストラン等のメニュー開発です。
> もしよろしければ教えて下さい。

「類似商標審査基準」とは、おそらく「類似商品・役務審査基準」のことかと存じます。
 
そして、ご質問は、「レストラン等のメニュー開発」を指定役務として出願したいが、類似商品・役務審査基準にピッタリ合うものがない。ついてはどうしたら良いか? ということですね。

 類似商品・役務審査基準にあるサービス(役務)はあくまでも例示ですので、なければ、そのサービスの内容・範囲が理解できるものを考えて記載します。ただし、一から考えるのは大変なので、過去の事例を調べてみましょう。

特許電子図書館(特許関係の独立行政法人が運営)に「商品・役務名リスト」という検索ページがあり、過去の審査で認められた役務の記載例や該当区分を調べられます。

簡易的に検索したところ、近しいものとして、
 ・「飲食物のメニュー・レシピ又は食材に関する情報の提供」(第43類 42B01)
 ・「料理の献立情報の提供」(第43類 42B01)
 ・「栄養に関する助言」  (第44類 42V03)
 ・「栄養に関する情報の提供」(第44類 42V03)
などがヒットしましたが、ピッタリ合うものは見つかりませんでした。

どうしたら良いかというご質問に対する回答は、 責任は負いかねますが、

「レストラン等」のメニュー開発なので、おそらく区分は、飲食物の提供と同じ「第43類(42B01)」、 役務表示は「飲食店用メニューの開発」で良いかと 思います。

もし、いな音特許事務所に出願をご依頼いただければ、
特許庁の分類担当に事前相談したうえで指定役務を決めて、

また必要が生じれば審査官とも打ち合わせるなどして、 ご希望どおりの指定役務で登録されるように 責任をもって対応いたします。
  1. 2013/05/22(水) 22:56:25 |
  2. URL |
  3. inaoto.com #-
  4. [ 編集 ]

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